レポート JCO38期卒 品川 直輝, MRO(J)

10月31日に4年ぶりの開催となるJCO名誉顧問であられるゲーリング先生による特別講義が行われました。

まず1、2年生向けにオステオパシーの哲学やカウンターストレインの基礎を解説して下さいました。
スティル先生の教えを基本として「身体は治れる状況を整えれば治っていく、今もそれを信じて治療を行なっている」と言うドクターであるゲーリング先生の言葉が印象的でした。 

続いて頭痛と頸部痛に関しての解説がありました。
頭痛の多くは「第一肋骨の高位」「中斜角筋の問題に続発するPC3」「回旋要素の矯正のためのAC1」の要素が関連しており、カウンターストレインの開発者であるジョーンズ先生の経験では、頭痛の60%以上の構成要素として第一肋骨が関与しています。

また、頭痛を考えた時、痛覚と共に交感神経を考えるのが大事であり、T1、T2からの神経を診ていく事が必要となります。

私たちも使用する機会の多い、仰臥位でのPR1テクニックは奥様のバーバラさんが車の運転中に頭痛になった際にどの体勢を取ると楽になるか?と、日常での出来事がきっかけになったそうです。
常にアンテナを張ってテクニックの開発をされている事がわかるエピソードでした。

インターン生、卒業生向けのトピックとして、上記の3つの要素を矯正しても頚椎の機能障害、ひっかかりが残る場合、考えるべきものとして硬膜との繋がりを診ていく必要があるとの解説がありました。

頭蓋や頚椎の機能障害を矯正しても仙骨、寛骨側に引っかかりがあるとC1の上下にある筋硬膜ブリッジが引っ張られ引っかかりが残ります。

実際にC3の引っかかりがなかなか改善しない参加者をモデルにして寛骨前方回転に対するMETを行うデモンストレーションが行われました。

その際、ちょうど私がC3をモニターする役目を頂きましたが、ゲーリング先生がMETを行う行程の中で急にすっとC3が弛緩する瞬間があり、面白い体験でした。

ですが、私のリアクションが薄く「アメリカの学生達はどうして骨盤の治療で首が良くなるの〜!?」ともっと驚いた反応を示すとおっしゃっていました。
国際セミナー中にもこのデモンストレーションをされていましたが、他の先生も私と似たようなリアクションをされていたのが密かに面白かったです。

講師向けのトピックとして、足底腱膜炎など、足部の問題に関するお話がありました。

ゲーリング先生の経験として足底腱膜炎の患者を治療した際、筋骨格系のカウンターストレインテクニックだけではなかなか上手くいかず、注射で痛みを抑えていたそうで、足底腱膜炎の患者を治療するのが嫌で仕方なかったとおっしゃっていました。
そこで改めて下腿や足部を細かく解剖し、今まで、着目していなかった組織にも着目する事で治療の幅、効果が向上したとのことでした。

ゲーリング先生の情熱と探究心により、今も日々カウンターストレインが進歩、発展していることが伝わり、私達のモチベーションも大いに刺激される講義でした。

余談ですが、私達37、38期生からは解剖実習でゲーリング先生のお宅にお世話になっていましたので、私としては3年ぶりの再会でした。
ホームステイ中はゲーリング先生をはじめ、ご家族に大変お世話になりましたので、再会を心待ちにして挨拶に伺ったのですが、、、
私の顔を覚えていらっしゃいませんでした(笑)
当時のエピソードを交えると思い出して下さいました(笑)