テーマ:「ミッチェル筋肉エネルギーテクニックによる肋骨1番の評価とアプローチ」
講師:ミッチェル筋肉エネルギーテクニック講師 小嶋 智MRO(J)
開催日:2023年2月12日(日)
会場:JCO2階 西荻オステオパシーセンター

第4回目となる「オステオパシー入門セミナー」を開催いたしました。

今回は4回目となり、より詳細な内容のオステオパシーを知ってもらう、入門セミナーとしては難易度は高めになりますが、ミッチェル筋肉エネルギーとしては当たり前の詳細さを知ってもらう企画です。

ミッチェル筋肉エネルギーテクニックは詳細な診断学と包括的なアプローチ

筋肉エネルギーテクニックと聞くと、筋肉に対するアプローチといったイメージを持つと思いますが、実は詳細な解剖学・運動学・診断学の包括的なアプローチで、脳の再教育がミッチェル筋肉エネルギーテクニックであり、この方法を紹介しました。

今回は循環にとても重要な部分である、胸郭入り口を構成する肋骨1番に焦点を当て、横突起に関節された肋骨を横突起の延長と考え、胸椎の屈曲/伸展での呼吸による肋骨の運動を確認する、これによって胸椎の問題なのか、肋骨自体の構造的な問題なのかの鑑別を学び、胸椎の問題であれば、病変(FRSやERS)の決定を行う事を実際に体験しながら学びました。
呼吸による肋骨の可動制限や、胸椎の屈曲/伸展による肋骨の位置的な差異など、感覚に頼るのではなく、しっかりと視覚で判断する重要性がミッチェル筋肉エネルギーテクニックでは求められ、動的な動きの途中では筋肉の影響があるので誤診を招きやすことなども学びました。
実際は肋骨の問題はほとんどが脊椎由来の二次的な病変であることも実際に体験すると良くわかります。


構造肋骨の詳細な分類を学ぶ

肋骨自体の問題はそれほど多くは無いのですが、オステオパシーのテクニックの中でもこれほど詳細に分類されているのはミッチェル筋肉エネルギーテクニックだけだと思われます。

第1肋骨サブラクセーション(損傷を伴わない変位)の分類は

  • 上方肋骨(肋横突)
  • 前方肋骨(肋椎)
  • 下方肋骨(肋椎)
  • アングル異常(肋横突)

これだけの分類があり位置的な比較で決定していきます。
※ソマティックディスファンクションにはサブラクセーションは含まれません。
オステオパシックリージョンはソマティックディスファンクションとサブラクセーションの両方が含まれます。

アプローチは?

肋骨に付着している筋肉を弛緩するポイントに持っていき、肋骨が自由に動けるようになったら、本来あるべきポイントに肋骨を誘導して行くのですが、近年では筋収縮を必ず使うわけでもなくなってきていて、昔からだいぶアプローチが変わってきています。
筋収縮を使う場合でも拮抗筋システムを使っていたりする場合も多いです。何を行っているのかの理解も要求されます。
テクニックはこんなに弱い力で動くのだってことが理解してもらえたら良かったかと思います。
これは安全性にはとても大切なポイントです。
ミッチェルは肋骨へのHVLAは、より不安定にさせるため行ってはならないと語っています。

セミナーで得られたものは?

視覚によって肋骨を比較するため、見る基本事項。骨の形状の解剖学や触診の為の侵入ルート、胸郭入口が循環にどれだけ影響を与えるかの理解と、胸椎由来の二次的な問題なのか、肋骨自体の構造的な問題なのかの鑑別診断方法と修正法を学べたと思います。

筋肉エネルギーマニュアル第3巻翻訳版は、2月後半には発売予定ですのでお楽しみに。
あらゆるテクニックのメカニカル的な理解にとても良い書籍です。