「一に解剖、二に解剖、三に解剖」― アメリカ・Western Universityでの解剖実習に参加して ―

レポート JCO44期 小郷 健介

私はJCO2年生として、アメリカのWestern University of Health Sciences, College of Osteopathic Medicine of the Pacific-Northwestで行われた5日間の解剖実習に参加しました。

オステオパシーの創始者A.T.スティル先生は、「一に解剖、二に解剖、三に解剖」という言葉を残しています。JCOでは1年次に構造解剖学・体表解剖学(「一に解剖」)、2・3年次に機能解剖学(「二に解剖」)を学びますが、今回のアメリカでの解剖実習(「三に解剖」)では、それまで積み重ねてきた学びを実際の人体で確かめることができる、大変貴重な機会となりました。

実習前には、頭頸部、背部、胸部、腹部、骨盤、上肢、下肢など、自分が確認したい解剖構造を整理して臨みました。アメリカで学べることや、ゲーリングD.O.から直接ご指導いただけること、そして志を共にする仲間たちと学べることに、大きな期待を抱いていました。

今回使用したご検体は特殊な固定法が施され、生体に近い柔軟性が保たれていました。そのため、「見る」だけでなく、「触れる」「動かす」「滑走を感じる」という、通常の解剖実習では得られない経験をすることができました。

実際にゲーリングD.O.のご指導のもと、自分自身でメスを取り解剖を行いました。1日目の切皮から始まり、表皮・真皮・浅筋膜・深筋膜の断面、大殿筋、梨状筋、坐骨神経、胸骨と心臓をつなぐ胸骨心膜靱帯、横隔膜と肝臓・胃をつなぐ間膜、後頭下筋群、大後頭神経、外眼筋、大脳鎌、小脳テント、視神経交叉、下垂体など、多くの解剖構造に触れることができ、ここでは書き尽くせないほど多くの学びを得ることができました。

また、教科書だけでは得ることのできない学びとして、皮膚に圧を加えながら断面を観察することや、足部を動かして筋膜の連続性を感じること、臓器の立体的な位置関係や筋、腱、靭帯、神経、血管、内臓などに触れた際の質感など、多くのことを実際に自分の目で見て、手で触れながら学ぶことができました。

今回、最も強く感じたことは、「2Dと3Dはまったく違う」ということです。今まで教科書で平面的に学んでいた解剖学も、実際の人体では組織の質感や臓器の立体的な位置関係を、自分の五感を通して理解することができました。どれほど優れた解剖学書であっても、この経験を完全に伝えることはできないと思います。今回の経験を通して、これまで教科書で積み重ねてきた知識が一つにつながり、人体をより立体的に捉えられるようになったと感じています。

この解剖実習は、私にとって新たなステップとなりました。実習後に臨床へ戻ると、患者様に触れる感覚が以前とは大きく変わり、皮膚の下にある筋肉や筋膜、神経、血管、内臓などの立体的な構造や質感を思い描きながら触診するようになりました。まだ経験も技術も十分ではありませんが、体の内部をイメージしながら触れるという感覚は、解剖実習を経験したからこそ得られた大きな財産です。この経験を今後の臨床にも活かせるよう、これからも解剖学を学び続け、オステオパスを目指して日々努力していきたいと思います。

最後に、このような貴重な学びの機会を与えてくださったJCOの先生方、引率してくださった平塚佳輝先生、温かく迎え入れ熱心にご指導くださったゲーリングD.O.とご家族、Western Universityの関係者の皆様に心より感謝申し上げます。また、共に学び、多くの刺激を与えてくれた仲間たちにも深く感謝しています。

そして何より、ご自身の身体を私たち学生の教育のために提供してくださったご献体のドナーの方に、心より感謝申し上げます。

今回得た学びと感謝の気持ちを大切にしながら、これからも解剖学を学び続け、オステオパスを目指して歩んでいきたいと思います。