オステオパシーは病気や不調の原因となっているものを見つけ、それを取り除き、自分が持っている治癒力を十分に発揮できるように助ける手技療法です。知識のある施術者にやってもらえればそれに越したことはないのですが、これを少しでも自分自身でできたら良いですよね。
オステオパシーには「頭蓋オステオパシー」という分野があります。身体には脳脊髄液という液体が神経の周りを流れていて神経に栄養を送ったり、神経から老廃物を受け取り静脈に還すという機能を担っています。頭蓋オステオパシーの創始者サザーランド博士はこの脳脊髄液をバッテリー液のように重要なものであると著書の中で言っています。
この脳脊髄液が作られる場所のひとつに「脳室」という空間があります。そこには毛細血管が豊富にあり、そこから多くの脳脊髄液が作られます。この脳室は頭蓋の中に4つあり、2つの側脳室、第3脳室、第4脳室があります。
また頭蓋オステオパシーでは、心臓が拍動するのと同じように自律的に運動するシステムが脳や脊髄にあるとし、施術者はこの1分間に6〜12回の自律的な運動をキャッチしてそれを利用します。頭蓋は脳脊髄液のような液体が豊富なのでそのリズムが分かりやすいです。またそれを利用しやすい所でもあります。
この第4脳室は比較的外から近いところにありますので、ここを利用してこの運動に影響を与えることができます。サザーランド博士はこれを「第4脳室圧縮」テクニックと呼び、組織の緊張を緩め、解毒作用を改善する全般的なテクニックとして紹介しています。
やり方は外後頭隆起という頭の後ろの出っ張りの両脇に、親指の付け根の柔らかい部分を使ってあてて、この律動的な動きを止めるように操作していきます。広がってくる動きは「屈曲」と呼び、縮む動きは「伸展」と呼んでいますが、この縮む動きについていって、広がる動きに抵抗することにより、この動きを「止め」ていきます。止まったところを「静止点」と呼び、この時に組織が緩んだり、身体の治癒力が回復してきたりします。
ではこれを自分でやるにはどうしたらよいでしょうか?自分の手を使って外後頭隆起の脇にあてても良いのですが、リラックスはできませんよね。そこでひとつ簡単な方法があります。テニスボール2個と靴下を用意してください。靴下の中にテニスボール2個を入れて、キュッと固く結んでください。その結んだものをもう片方の靴下に入れて、また固く結んでください。こうしてできたアイテムを、外後頭隆起の脇にあてて5〜15分、寝てください。ただそれだけで、「第4脳室圧縮」テクニックと同じような効果が得られます。ただ途中で気持ち悪くなったりするようであれば中止してください。
寝る前にこれをやると睡眠の質が上がり、疲れも取れやすくなると思います。ぜひ試してみてはいかがでしょうか?
テニスボール2つと靴下で、体の緊張が緩和したり、自律神経の調整ができたりするアイテムを作れます。作ったら頭の下に置いて、15分間寝るだけ!熱を下げる効果もあるようですよ。
本間 毅, MRO(J)
ジャパン カレッジ オブ オステオパシー講師(内臓マニピュレーション)
Arc(アーク)施術院(千葉)院長
日本オステオパシー学会理事
日本オステオパシー連合理事
ジャパン・オステオパシック・サプライ取締役
アプレジャー・インスティチュート・ジャパン代表 CST-1・2インストラクター