プロフィール

渡辺 大輔, MRO(J)

中国に渡り現代医学医師として学ぶ中で、西洋医学と東洋医学に興味を持ち、そんな中でオステオパシーとの出会いがあり、JCOに入学し、オステオパスを志す。

2012年3月JCO卒業
2012年4月MRO(J)取得
2012年4月から2014年3月末まで2年間立川オステオパシーセンター勤務
2014年7月神奈川県秦野市にオステオパシーにこにこ体(たい)開業

プライベートでは家庭菜園で野菜などを育て、クライアント様におすそ分けすることもある。

にこにこ体
ホームページ https://niconicotai.com

現在、どこで、どのような形で、オステオパスの仕事をしていますか?

神奈川県秦野市でオステオパシーにこにこ体を一人で経営しています。

以前に開業されていた場所から駅により近い所に引越されたということですが。

はい、3年位前に引越しました。

どういった場所なのでしょうか?

アパートの大家さんが住んでいた場所で、2階分あり、住居兼でリビング部分を施術院として使っています。

現在の仕事で楽しいところ、充実しているところはなんですか?

楽しいなと思えるのは、クライアント様に施術をして良くなって喜んでいただけるところが一番楽しいことですね。

・どんな時に(場面で)、そう感じますか?

色々な場面であるのですが、例えば最近ですと、ずっと何年も肩の痛みで腕を上げれなかった方がいて、その方を施術していたのですが、最初来院されたときは60°くらいしか上げられなかったのですが、今は180°まで上げられるようになりました。女性のクライアントさんだったのですが、感動して涙を流して喜んでいただけたということがありました。「今まで他の施術院にも行っていたけれども、改善しなくて、私もうだめだと思っていんです」と言ってすごく喜んでくれたんですよ。
そういうのを見てクライアントさんの人生が良くなるお手伝いができたんだなと思ってすごく嬉しく思いました。

それだけ劇的に変わるとお互いびっくりしますよね。

こちらもありがとうございますという気持ちです。

逆に仕事で大変だなと思うことはありますか?

考えることが多いなと思います。ただ施術をするだけだったら簡単だと思いますが、オステオパシーをやっていく中で、どこが悪くなっているのかなとか、こういう可能性はないのかなとか、クライアントさんはどういう生活をしてるのかなとか、そういう深い部分まで考えていくと、考えれば考えるほど深掘りができてしまうので、そういったところで、もっとクライアント様のことをよく知ることはできなかったのかなとか、こういうに話をしたらもっとうまく伝わったんじゃないかなとか、他にももっと良い方法はなかったかなとか、そういったことは毎日毎日考えていますね。

大変なことというわけではないですけれども、難しい部分かなとは思います。

仕事における想いやこだわりはありますか?

こだわりというか意識していることなんですけれども、施術に関することだけではなくて、そのクライアント様が良くなるにはどうしたらいいかなと考えていった結果、クライアント様の日常生活で、例えばしっかり眠れているかなとか、運動はしているのかなとか、食事をしっかり摂っているかなとか、そういったことをかなり意識するようにはなってきています。

そこでなかなか改善しないクライアント様にも、詳しく聴いていったら、食事をあまり食べていませんとか、朝は牛乳しか飲んでませんとか、ご飯も醤油皿くらいしか食べてませんとか、それでは良くなりませんよという方もいましたし、夜ちゃんと眠れていますかと聴くと、目が冷めますというような方もいましたし、生活全般を含めて考えていくことがオステオパシーでは大事ではないかと思います。

キャリアにおける印象的なできごとはありますか?

クライアント様を施術していく中での変化ということになるんですけれども、先ほどの肩が上がらなかった方もそうですし、他のクライアント様ですと、膝と足首がすごく痛いという方だったのですけれども、10分くらいしか立っていられませんでした。10分くらい歩くと電信柱でしばらく休憩しないと歩けないという状態のクライアント様だったんですけど、施術してもう今では1時間以上歩ける状態になっています。特にその方は印象に残ってます。

オステオパスとしてのキャリアにおいて、壁はありましたか?

今まで良くなった方のお話をさせていただきましたが、なかなか改善しない方や重症のクライアント様もやっぱりいらっしゃいますので。施術したときは楽になったりだとか痛みが取れたりだとか、歩くのがすごく楽になる、速く歩けるようになるというような方でも、家に帰って1週間後、2週間後に経つと、前とほぼ同じ状態に戻ってしまう、肩が上がらない状態が改善しても、次に来るときにはまた戻ってしまうというような方はいて、そういう経験は何度もあります。

どのようにそれを乗り越えましたか?

乗り越えるきっかけになったのは立川(※1)で働かせていただいていたこと、その時に佳輝先生(※2)はどういうふうにやっていたかなとか、晃一先生(※3)はどういうふうにやっていたかなとか、そういうのを思い出しながらやっていく時に、そういえば座り方をこういうふうにしてくださいねと言っていたなとか、立川ではそういうふうに言っていたなとか、そういうことを思い出して、施術だけではなくて、自分で家でできることなど、クライアント様にもこういうことを気をつけてくださいなど、そういうことを色々アドバイスするようになって、以前は痛みが元に戻っていた方が、痛くはなったけど、痛みは半分になったとか、先週よりは良いですとか、改善してきました。

学校に入る前は、(オステオパスになる前は)何をしていたのですか?

JCOに入る前は、中国の上海で西洋医学を勉強していました。医科大学で勉強していたんですけれども、東洋医学ではなく西洋医学を勉強していました。

なぜ中国で西洋医学を勉強されていたのですか?

その時にたまたま父が中国の深圳(しんせん)というところで単身赴任をしていたんですけれども、今中国が発展しているよというのを聞いて、中国にも興味を持ったというのと、そうやって発展していくと、これから中国語ができると色々な人と話ができて良いのではないかなと思い、中国に留学をすることにしました。

そこからなぜオステオパスになろうと思ったのですか?

西洋医学を勉強していた時に、病院自治区というのがあるのですが、たまたま私が勉強していた医科大学というのは、東洋医学と西洋医学を統合して使う病院の見学というのがカリキュラムにありました。そこでは例えば内科的な処置をしている患者さんに対してマッサージをしたりだとか、鍼を打ったりだとか、そういったことで薬の処方量を減らしたりできないかとか、弱い薬にすることはできないかとか、そのようなことをやっている病院だったんですね。私は上海で西洋医学を勉強したんですけれども、実は元々薬剤師になりたかったんですよ。薬学部に入りたかったんですけれども、向こうの手違いで「君薬学部ではなくて医学部に登録されているよ」と言われて、学費はそんなに変わらず1年追加になるんですけど、せっかくだから医学部にすればと勧められて、それで医学部になったという。今ではもうないと思うんですけどね。当時はかなり緩かったです。

元々薬にも興味があったので、薬の量をもっと減らすことはできないかなとか、副作用を減らすことはできないかなとか、そういったことを考えていたんですけれども、それが私にとって西洋医学と東洋医学を組み合わせるようなことをやりたいなーと思って、たまたまその時に「ためしてガッテン」でオステオパシーの特集というのを観て、自分のやりたいことはこれじゃないかなと思い、オステオパシーを勉強することにしました。

なぜJCOを選んだのですか?

JCOを選んだ理由はインターン制度ですね。入学した頃は卒業したらすぐ開業しようと思っていたのですけれども、インターン制度があって、実際にクライアント様を施術したりだとか、実践的なことも勉強できる学校がいいなと思い、それで色々な学校を調べたらJCOが一番しっかりしてそうだなと思ってJCOに決めました。

・JCOで学んでよかったところはどんなところですか?

たくさんあるんですけれども、まず座学に関しては、中国で西洋医学を勉強していましたけれども、医学部と比べても遜色のないレベルのものを教えてくれていると思います。実際JCOを卒業してクライアント様に看護師さんやお医者さんもいますけれども、そういう方が専門的な話をしてきても、それに対して答えることができているので、それはJCOで勉強したからだなと思います。

施術に関しても、講師の先生方も経験豊富で実際に施術院を経営している先生方なので、臨床でこういうふうになるとか、私の場合はこういうふうになったとか、こういうクライアント様がいてこういう施術をしたらこういうふうになったよとか、生の声をたくさん聞けたのが、勉強をする中でも、こういうふうにやるとこう変わるんだなというイメージが掴めてすごく良かったと思います。

学生時代から家族に対して施術をしたりとかしていたんですけど、その中でも他の整体とは違うねーというふうに、すごく楽になったと言われることがあったので、勉強している段階でもそれだけの技術が身につけられるのはJCOのすごいところだなと思います。

卒業後はどんな風に、学び続けていますか?

JOFで開催されているセミナーを受けたりとか、JCOの聴講にも参加しました。聴講は卒業生であれば料金もお手頃で、そういう学びの幅があるのはすごくありがたいと思います。卒業したあとに聴講するというのは学生時代の時と違って、実際にクライアント様の施術をしていますから、教わったことをクライアント様に施術してどうだったかとか、実際に使う機会がありますので、技術とか知識を習得するとか身につけるとかそういうことに関してすごく効果的だったなと思います。

オステオパスとしてのゴールやビジョンはありますか?これからどのようなオステオパスになっていきたいですか?

今思い描いているものというのは、アメリカのDO(※4)みたいなホームドクター的な先生になりたいなと考えています。最近自転車で転倒されたクライアント様から連絡がありまして、その時に色々症状を聴いていって、その方の場合は頭を打ったり、左肘が痛くて伸ばすことができないというふうに聴いてたんですね。電話だけだったのでどういう状態か分からなかったのですが、あなたの家の近くだとこういう整形外科があって、そこは評判が良いから行ってみると良いと思いますよと伝え、そこで頭を打ったことと肘が痛みで伸ばせないことをお医者さんに話していただけると多分こういう検査をすると思いますよという話をしたりして、病院に行ったらどうだったか教えてくださいねと言っていたのですけれども、そしたらクライアント様も「やっぱり先生に相談して良かったよ」「そこもいい先生だったし、説明したら細かく検査してくれて、骨折もなくてすごく安心したんだよ」と言ってくださいました。なので施術だけではなくて、他の場面でも困ったことがあったら気軽に相談できるような、そういう存在になりたいなと思っています。

もう1つ少し先の夢になってくるんですけれども、立川オステオパシーセンターみたいに卒業生が働けるような場所を作っていきたいなと考えています。今は一人でやっていますが、

これからオステオパスを志す人に伝えたいことはありますか?

オステオパシーは今まだ日本では知名度は低いかもしれませんが、これからオステオパシーの良さというのは広まっていって、注目されていくと思うんですね。クライアント様自身もいいものを探したいとか、良い施術を受けたいとか、もっと健康的な生活をしたいという世の中になっていると思います。特にコロナ禍を通してそういう風潮は強くなっていると感じてますので、どんどん広まっていくと思います。そういった時にクライアント様を癒やすことができたり、クライアント様の手助けをすることができるオステオパスの仕事というのは素晴らしい仕事だと思います。ですので、ぜひぜひそういった方々が増えていってくれたらいいなと思っています。

他に伝えておきたいことはありますか?

入学しようと思っている方が不安に思う部分が多分2つあるのではないかと思っていて、1つは施術技術をしっかりと身につけることができるかどうか、JCOに通って施術ができるようになるのか。その点では全く問題ありません。私自身色々な卒業生の施術などを見たりしてますが、技術に関してはJCOはピカイチです。もう1つの心配することは、卒業して仕事としてやっていけるかというところだと思うんですね。そこの部分というのはなかなか学校で教えるのが難しい部分も多いですし、私の場合は立川で仕事させていただきましたので、そこで実際にどういうふうにクライアント様と接しているのかなとか、どういったアプローチをしているのかなとか、そういうのを見させてもらうことができたので、他の先生方に比べると、軌道に乗せるのは早い方だったのではないかなと思います。ただ、集客の部分が、学校に入学して卒業したらできるのか不安に感じる方は多いのではないかと思います。

ほとんどの方がそうだと思います。

そうですね。そういうこともあって、先程立川オステオパシーセンターのように卒業生が働けるようにしていきたいなと、そこで働いていく中で、にこにこ体ではこういうふうにやっていたな、こういうふうに集客をしていたなど、実践的なことを学んでもらって、その後で開業していくようになると、経営的なことも少し伝えていけるかなと思っています。

JCOでも経営についてのカリキュラムは、会計関係の専門家にもお願いして新たに組まれているんですね。

それはうらやましいですね。

聴講などもできるようになってます。座学はほぼオンラインになってますので、単科生になると録画した講義を視聴することもできます。

私自身も経営に関しては色々勉強しているので、もっと深めていきたいなと思っています。楽しみにしています。

※1 立川:立川オステオパシーセンター
※2 佳輝先生:平塚 佳輝 元立川オステオパシーセンター副院長、現立川オステオパシープラクティス院長
※3 晃一先生:平塚 晃一 先生 立川オステオパシーセンター院長
※4 アメリカのDO Doctor of Osteopathy オステオパシー医師の国家資格。投薬や手術も含め行うことができ、医療領域に制限がない

インタビュアー・執筆者:平塚 佳輝
JCO学長